⒈タイの首都バンコクの概要
バンコクは、1782年4月21日にラーマ1世によってタイ王国の首都に制定された東南アジアを代表する都市であり、同日午前6時45分ラーマ1世が建立したラックムアンが最初の建造物とされています。
ラックムアンは、ラーマ2世によるサムットラーカーンやプラプラデーン郡に加え、ラーマ3世によるチャチューンサオやチャンタブリーなど戦略上重要な都市に建立されています。
ラーマ1世は、マハープルット王とも呼ばれるアユタヤ王朝31代ペートラチャー王の息子にして政府高官チャオプラヤー・コーサーバーンの子孫とされ、1767年に中国潮州系タイ人のタークシン大王によって建国されたトンブリー王朝を打倒しチャクリー王朝を開闢した人物です。
ペートラチャー王は、アユタヤ王朝30代ナーラーイ・マハーエーカートッサロット・ラート王の息子に促されて象隊長でありながら即位していることからアユタヤ王朝王家の血が流れていないとされ、15年に満たない治世を反乱勢力の討伐に明け暮れた血塗られた王です。
ラーマ1世は、同様に在位15年に満たない治世を戦に費やしたタークシン大王を支えた将軍であり、アユタヤ王朝の血を受け継いでいないタークシン大王を処刑し王位を手に入れた王でもあります。
タークシン大王は、ノーベル文学賞候補にもなった三島由紀夫氏の小説「暁の寺」のモデルとなった「ワット・アルンチャワーラームを修復した信仰心の厚い仏教徒であり、下克上を成し遂げたラーマ1世のチャクリー王朝の治世時においても100バーツ紙幣の肖像画になるほどの人物です。
ワット・アルンチャワーラームは、マハーニカーイの第1級ラーチャウォーラマハーウィハーン寺院であり、アユタヤ朝のペートラーチャー王時代以前よりチャオプラヤ川沿いにあった寺院です。
⒉タークシン大王のによって修復される
アユタヤ王朝滅亡後は、タークシン大王のによって修復されるとともにトンブリー王朝の王宮寺院としてワット・ジェーンと呼ばれ、メコン川沿いに広がるラオス人民民主共和国の首都ヴィエンチャン攻略の戦利品エメラルド仏像を安置していたことでも有名な寺院でもあります。
エメラルド仏像は、後のラーマ2世であるイッサラストーン皇子によってラーマ2世の菩提寺ワット・プラシーラッタナサーサダーラームに移され、現在ではヒンドゥー教の暁神アルーナから正式名称プラ・プッタマハーマニーラッタナパティマーコーンケーオモーラコットに変更されています。
ラーマ2世は、タイ仏教の伝統に従って出家したものの副王の崩御により1806年に皇太子になるとともに3年後の1809年に父王の崩御に伴い即位し、父王ラーマ1世が破壊した第一級ラーチャウォーラマハーウィハーンのワット・スタットテープワララームの修復や詩聖「スントーン・プー」の保護など文化面での功績が大きい王です。
また、ラックムアンを建立したプラプラデーンをパトゥムターニーから強制移住させたモン族に建設させた王でもあります。
ワット・プラシーラッタナサーサダーラームは、王宮の敷地内にあるエメラルド寺院やワット・プラケーオと呼ばれる王室専用の寺院であり、ラーマ1世〜ラーマ8世までの彫像が安置されているプラサート・プラテープ・ピドーンや金色の仏舎利塔のプラ・シーラッタナチェーディーなどの建造物がある寺院です。
⒊ヒンドゥー教のインドラが住む町を意味するワット・スタットテープワララーム
ワット・スタットテープワララームは、ヒンドゥー教のインドラが住む町を意味する寺院であり、ルワンポートとも呼ばれるアユタヤのワット・パナンチューンの金色坐仏像を模した仏像をバンコクに安置するために建設されています。
ワット・スタットテープワララームには、インドラが乗ったアイラヴァータのデザインやシーサーカヤムニー仏が安置されている礼拝堂に加え、パチェッカ・ブッダやタイの民話が描かれたラーマ3世時代の壁画やラーマさんせえの治世時に建立されたラッタナコーシン様式の布薩堂など見所の多いバンコクの寺院です。
ラーマ3世は、500バーツ紙幣の肖像になっているチャクリー朝第3代シャム国王であり、タークシン大王の息子カサットラーヌチット王子の反乱を鎮圧したことでも知られる国王でもあります。
また、ワット・ポプラチェートゥポンウィモンマンカラーラーにタイ王国初の大学を設置したことでも知られる国王です。
ワット・プラチェートゥポンウィモンマンカラーラーは、敷地面積やく24,200坪のバンコクで最古かつ最大の王室寺院であり、金色に光り輝く全長46mの巨大な涅槃仏があることから涅槃寺とも呼ばれています。
巨大な涅槃仏は、ラーマ3世の命により印中泰の混合様式の仏像であり、堂内には108の煩悩を捨て去るためにサタン硬貨を入れる壺が設置されているパワースポットです。
バンコクは、室町幕府第3代将軍足利義満の時代には交流があった仏教王国タイの首都なので、歴代のシャム国王の足跡を辿って寺院巡りをするとよりタイ王国を理解することができます。